警察庁は2009年版「治安の回顧と展望」で、中国の対日スパイ活動について先端科学技術をもつ企業や防衛関連企業などに研究者や留学生らを派遣し「長期間にわたって巧妙かつ多様な手段で先端科学技術の情報収集活動を行っている」と警告を発していました。
「回顧と展望」は米議会公聴会での元FBI捜査官の証言やドイツにおける中国の産業スパイ活動などを紹介し、秘密政治情報の獲得工作や先端科学技術スパイ活動が日本でも巧妙に行われていると断じています。
中国のスパイ活動はプロの情報機関員だけでなく、あらゆる階層の中国人を情報収集員として使い、とりわけ近年は軍事科学技術の収集に力を注いでいます。これは毛沢東時代からの“伝統”と言って良いでしょう。
情報保全アナリストの長谷川忠氏によると、中国の情報収集は科学者、ビジネスマン、留学・研修生、旅行者、華僑、華人などを活用した人海戦術で「1人の工作員が砂1粒を集めてバケツ一杯にする」のが最大の特徴だといいます。「中国人を見たら、スパイと思え」と警鐘を鳴らす情報関係者もいるほどです。
中国の対台湾スパイ工作は国務院の国家安全省と公安省、人民解放軍の総政治部連絡部と総参謀部2部の4機関で行われています。香港や東南アジアで育った華僑の若者を長期間潜伏するスパイ(「覆面」と称される)を育成し、「親台湾」を装って台湾籍を取得させ、軍や行政機関に就職させ秘密活動を行わせています。
中国の軍事的な脅威を挙げるなら、何をおいてもスパイ活動を取り締まる法整備(スパイ防止法)を行うべきです。