スパイ防止法は「平和憲法」の精神
「スパイ防止法」を制定することが、あたかも、日本国憲法のいわゆる「平和主義」に反すると思っている人たちがいます。
それは、憲法の読みちがえです。
たしかに日本国憲法の前文には、「日本国民は……平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」とあります。
しかし、このいわゆる平和宣言は、決して無原則に、外国を信頼せよと言っているものではありません。「平和を愛する国」で、かつ「公正と信義」にもとることのない国だけが、信頼に値するのです。
このものさしで言えば、第二次大戦後、日本固有の領土である北方領土を不法に占拠したばかりか、いまだに返還しようとしないロシアは落第でしょう。
また中国は、軍事力を年々大幅に増強する一方、活発なスパイ工作を行い、わが国の安全を脅かし続けています。このような中国を、平和愛好国として扱い、信頼して、国家の安危にかかわる防衛、外交などの機密が筒抜けになっても良いなどとは、到底言えません。
憲法の前文に即して言えば、「平和を愛する諸国民」との信頼関係を維持するためにも、それら友好国(アメリカなどの自由主義国)との間に存在する防衛、外交上の重大な秘密は、相手国と同様、わが国においてもしっかりと守らなければいけません。
このように考える時、私たちが、現在の憲法のいわゆる「平和主義」を堅持し、平和愛好国として、今後とも生きながらえていくためには、「国家機密」という情報の防衛こそ、国家の生命線に関わる重大な課題なのです。
言い換えれば、スパイからの国家機密の防衛は、「平和憲法」の要請するところでもあるのです。