2007年1月、神奈川県警が海上自衛隊第1護衛隊群(神奈川県横須賀市)の護衛艦「しらね」(イージス艦)乗組員の2等海曹の中国籍の妻を入管難民法違反容疑(不法残留)で逮捕しました。
家宅捜索したところ、イージス艦の迎撃システムなど機密情報に関する約800項に及ぶファイルが発見され、当時中国人妻は男性を誘惑して情報を入手するスパイ活動「ハニートラップ」と報じられました。いわゆる「色仕掛け」です。
また2006年、上対馬警備所の1等海曹が周辺国の艦船や潜水艦の写真などを集めた海自の「識別参考資料」をCDへ不正コピーし自宅に持ち帰り、8回にわたって上海に無断渡航していました。1曹は上海で中国情報機関の“拠点”とされる日本人向けカラオケ店に出入りし、中国人女性と接触していました。同案件では事情聴取を受けていた佐世保基地の護衛艦勤務の1等海曹が2006年8月に自殺しています。
カラオケ店は2004年5月、中国当局からスパイを強要され自殺した上海総領事館の(当時46)も通っていた店で、同事件もハニートラップとされました。
領事は総領事館と外務省の間の通信事務を担当する通信担当官で、機密性の高い文書を扱っていました。遺書には、「一生あの中国人たちに国を売って苦しまされることを考えると、こういう形しかありませんでした。……日本を売らない限り私は出国できそうにありませんので、この道を選びました」と記されていました。領事はカラオケ店で中国人女性と関係を持ち、それを脅しに使われ、スパイを強要されました。
スパイが情報を収集するには「イン・プレイス」(よい条件を備えた場所や地位にある人物)に接近します。ハニートラップは接近する手段として利用されるのです。